大阪大学でイノベーション創出若手研究人材養成プログラムの活動が本格的に動き出した。今回は1期生として参加している高橋宏之さんに、プログラムを通して感じたことを伺った。そこから見えてくるのは、参加する各人のマインドの重要性だ。
自分を試す場を探して
プログラム参加前から、日本で行われている研究の認知度を国内で高めることと、事業化によって研究成果の出口をアカデミック以外の場所に広げることに関心があった。そんな私にとって、プログラム参加企業の株式会社リバネスは2つの点で面白そうだと考えていた。1つは中高生に向けて、最先端科学をテーマにした実験教室や教材開発などのアウトリーチ活動を行っている点。もう1つは大学と連携して研究成果の事業化を考えている点だ。そんな折に、リバネスが廃棄物から有用物質を産生する微生物のスクリーニングを通して環境技術を考えるためのキットの開発と、そこで得られた成果を基にした有用物質産生菌の事業化を本プログラムの中で実施しようとしていることを知り、応募した。
プログラムの価値は行動で決まる
研修先では研究開発事業部に所属し、「微生物スクリーニング系の構築と教材化」に取り組んだ。とは言え、業務は研究に専念するのみにとどまらなかった。自分がやりたいことを実現するためには、大学や企業との連携なしにはできない。そこで、リバネスがどのように周りを巻き込んでいるのかを勉強するため、研究事業化の現場視察や、大学や企業の研究者への取材をさせてもらった。ある機器メーカーでの営業の際に、実験教室やリバネスが始めた研究助成金の話で盛り上がった。説明を聞く中で先方が会社の理念に大きく共感し、何かの折に協力したいと言われたことが非常に印象に残っている。事業内容の背景にある理念を共有することが周囲を巻き込む上で重要であると気がついたことは、今後、リーダーとして成長したい自分にとって最も価値ある経験だった。
3ヶ月で学べたこと
実施期間の3ヶ月で、自分の関心事であった研究のアウトリーチと研究成果の事業化が1つの出口になり得る可能性を見出した。プログラム期間中、自ら課題解決のために主体的に動こうとしたからこそ、この成果があったのではないかと感じている。これからは、国内外の研究をより活性化するため、見えてきた展望を実現させていくことが自分としての勝負だ。
このプログラムは参加し始めたころに比べて参加企業の数だけでなく、業種も増えてきた。さらに、参加者同士の自発的な勉強会なども行われるようになってきた。組織全体の意識が高まってきた今、自分の力を試せるだけでなく、積極的に挑戦すれば考えている以上の何かを参加者が得られる場として機能し始めていることは間違いない。
(寄稿)


