
科学技術に国境はない。理系学生の中でも、将来世界で活躍することを望む人は多いだろう。アメリカにある大学や日本企業、日米の合弁企業を訪問し、そこで活躍する人材と交流する「海外インターンシップ入門」が、2008年11月9日、首都大学東京で始まった。
動き出した学生たち
海外インターンシップ入門に参加した15名の学生のうちの1人、博士後期課程1年の田中さんは「フランスに留学することを決めました。環境を変化させ、自らの情報処理能力を高めたい」と帰国後すぐに動き出した。田中さんだけでなく、研究に対するモチベーションが以前よ高まったと話す学生たちは、分野の枠を超えた仲間を集め研究発表会を企画した。海外で活躍する人との出会いが、学生の行動力を沸き立たせたのだ。
一歩踏み出す力
プログラム開始時、参加した学生たちは言語や文化の違いから海外で生することに壁を感じていた。しかし、最初に訪問したStanford Universityにおいて、学生たちの眼の色に早速変化が見られた。同年代の大学院生たちが、幅広い分野の人と話し合う機会を設け、高い意識を持ち研究している姿に刺激を受けた。さらに、日本企業であるS a l a d Cosmo U.S.A. Corp.、CALBEE A M E R I C A , I N C . やF u j i t s u Management Services of America, Inc.、日米の合弁企業であるNUMMI, Inc.を訪問し、海外で働く日本人に渡米当時の目的や悩みを聞いた。そこで気付いたのは、自分たちが海外に対して感じている壁はさほど大きなものではないということ。主体的に目標に向かって踏み出す行動力があれば、乗り越えることができる。
起業家やベンチャーキャピタルで活躍する人との出会いは、理系の経験を活かせる新しい道を知るきっかけとなった。さらに、米国企業の例としてGoogle, Inc.で社員3名の話を聞き、米国企業の自由な社風や成果主義・個人主義の実態を知った。日本国内の事情しか知らなかった学生たち。幅広い視点で将来を考えるヒントを得て、今後どのようなキャリアを重ねていくのだろうか。
主体的な学生を応援する
首都大学東京では、平成19年度に「大学院教育改革支援プログラム」が採択され、主体的に行動し、幅広い人的ネットワークを構築する人材育成プログラムを開始した。物理と化学の分野を中心に、国際的に活躍する若手の育成に力を入れている。国内外の大学・研究機関への派遣や、国際会議や研修への参加を積極的に補助するだけでなく、研究者を呼んだ研修セミナーの開催も行う。このプログラムの一環として理工学研究科研究推進室とともに「海外インターンップ入門」を実施した岡部豊教授は、技術を持って海外で活躍したいと考えている学生に、海外で活躍するきっかけを掴んでほしいと語る。海外でひと回りもふた回りも大きく成長して帰ってきた学生たちの姿を、来年も見たい。

